入院中、看護師や薬剤師を目指す学生が部屋を訪れた。
ある日、薬剤師の方が「実習生連れてきていいですか?」と言うので受け入れる。
処方された薬について一通り淀みなく説明してくれた学生さん。
その間、薬剤師の先生が要所要所でボールペンをカチカチ鳴らしながらメモを取っている。
見られていること、メモを取られていること、実際に患者と接しているわけでとても緊張していることだろう。
普段、私も実習生を受け入れる立場にある。
説明を聞きながら、メモは指摘だけじゃないよ、よいところもメモするよ、緊張しないでねと願い、気の利いた質問をしようか、ちょっと困る質問を投げかけたらどうだろうなどといらぬお節介を考えていた。
質問はありますか?
説明中に難しい言葉があったので意味を尋ねる。
とても落ち着いてわかりやすく答えてくれたが、回答中にまた疑問が湧いた。
目を見てしっかり説明出来ている…口調も話す速度も私には合っている…少し距離感が近いかな…。概ね合格点、気づけば勝手ながらいらぬ評価をしている。
先生から補足が入った。
追い質問の必要なし、流石である。
もう一つ質問があったが、これはもはや雑談の域、抽象的な回答になるだろうと思い控えた。世に出れば老若男女いろんな方たちのそれぞれの処方箋があり、質問も状況も想定外のことがあるはず。経験を積むに限る。
先生からはどんなフィードバックがあったのだろう。
ちなみにその質問、
「食直前…どう捉えたらいいですか?」というもの。
具体的な時間が知りたかった。
服薬のタイミングの食前と食直前。
表記が違うのだからそれを意味する理由がある。
人によって感覚が違うと思ったのだ。
自分的には飲んだらすぐ食事。
夫は違うだろうな…と思うと何だか可笑しい。
後に聞いてみると、案の定、10分前くらいと回答。
インターネットで検索する。
食前:食事の20~30分前が目安
食直前:食事の5分前~直前/お箸を持つ直前が目安
他にも数種類の服薬をするときの飲み順が気になった。
胃の荒れを防ぐ薬は最初か最後か…?
これをどうでもよいと考えるのが夫で、少しでも効き目があるようにと考えるのが私。気になり出すと自分なりの落とし所を見つけるまでモヤモヤする性格である。
学生さんが来たときに、私はシャワーの時間を控えており片方だけ靴下を脱いだところであった。
先生が、「ちょっとだけいい?」というのでそのままどうぞと受け入れたわけだが、片方だけ素足の患者を目の前に気になってたら申し訳ないな、大丈夫かな、自分でも笑えるけど…と思っていた。
その心配は全く必要なかった。
素晴らしい集中力?
部屋を出て行くときに、「お大事にしてください」と声をかけてくれたので、思わず「頑張ってください」と返す。
指導する立場にあるときは、メモはそっと取ろうと省みた実習生の受け入れとなった。
まもなく3月が終わり、新年度を迎える。
学生さんたち…新しい環境でも頑張って!!
心得:其の二四
指導を忘れず、努力を怠らず、相手を慮りましょうの巻